薄暗い森林の奥の奥。
目を凝らして見つめてもそこにあるのは漆黒の暗闇
濃い葉々の生い茂る大木の影に何かがじっと潜む。
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甘いいい匂いがあたりに立ちこめていく。
そこに向かおうと足を踏み入れる、
すると光の速さで黒いものが飛んでくる
彼らの吐く息は甘い芳香を放ち、森の生き物はすべてこの香りに魅き寄せられる、とされています。『月の獣』、『美しく気の強い女』、『宿命の女』にたとえられ、ローマ帝国の頃から黒豹(パンサー)は神秘的な生き物でした。
マレー半島ではかつてから黒豹がたくさん住んでいました。
そこに棲息する豹はなぜかほとんど全てが黒い皮をしています。
その神秘の存在の不思議さは、深い森の暗闇の中に棲息するその黒い姿が速く捉えにくく識別できないことから、いったいそこに何匹いるのさえわからないことにもよりました。
しかし最近の世界市場での黒豹の皮と臓器の人気急騰で密猟が絶えず、しかも材木、パーム油、ゴム産業による森林消滅でその居住地は激減し、絶滅が危惧され始めてきています。
いま緊急に黒豹の保護が必要なのです。
しかし全身真っ黒の体で識別ができず頭数の把握ができないことが深刻な問題でした。
オーストラリアのジェームスクック大学の科学者たちと仲間はマレー半島で豹の研究と保護に取り組んでいる研究チームです。
彼らはこの困難な状況で葛藤をつづけてきましたが、最近その研究に画期的な一歩がありました。
密猟で死んで行った黒豹仲間のスピリットが囁いたのかーーなにせ神秘のパンサーですから!ーーー最強の方法が授かったのです!
研究チームのクレメンツ博士は語ります。
「まったくの偶然なのです。ありきたりの全自動カメラの赤外線フラッシュ操作をいじっていたらとつぜん彼らの斑点の写真が撮れたんです!」
黒豹に斑点があった!!!!!!!
しかもそれは人間の視覚には映らない斑点なためこれまで気づかれずにいたのです。
そうです、黒豹は裏切りません、どこまでもクールな神秘の存在なのです!!!!
この孤高の生きものは、種の存続の危機が訪れた今その斑点の存在を初めて人間に知らせたのです。
これは彼らからのSAVE US!のSOSでなくて何なのでしょう!?
「このおかげで、彼ら個体の斑点はそれぞれ唯一のものですから一匹ずつの判別がつくようになりました!」
「われわれはこれで94%の正確さで彼らについて把握できるようになるでしょう。」
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黒豹の総頭数がわかり識別できることは彼らの生態把握に大きな前進となります。このことはこれからの黒豹の保護に絶大な貢献となっていくことが期待されます。
それだけでなく彼らの命に敬意が持たれること、黒豹が尊厳を持って生き続けられるスペースを地上に作っていくことが、これから人間が果たすべき使命であり役割でしょう。
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