【ヨーロッパ観光に役立つ】歴史建築の特徴講座(モダン様式)

前回は20世紀前半にアメリカで流行して世界に拡散したアール・デコをご紹介しました。
今回はアール・デコとはまったく違った新しい建築、モダン様式のお話です。

 

 

 

 

 

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モダン様式とは


モダン様式は現代様式、国際様式とも呼ばれ、その建物をモダニズム建築と言います。
20世紀前半に出現し、1970年代まで世界中のビル建築に取り入れられました。
それまでの時代の「装飾のための装飾」であった歴史的建築様式を否定し、現代社会の要求に合った機能的な建物を作ろうという国際的な運動が生んだ様式です。

特定の地域や国の特徴を超えた普遍性・国際性が主張となっていますが、その表現方法は様々であり、同一の様式が世界中に普及したわけではありません。

 


モダン様式の成り立ち


■鉄筋コンクリート建築の誕生


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Église Notre-Dame du Raincy — Wikipédia

20世紀に入ると、それまでの石やレンガを積み上げて作るやり方とはまったく異なる、鉄筋コンクリート工法が可能になりました。
1922年には鉄筋コンクリートの教会がフランスのランシーで作られています。

 

■バウハウスの誕生(ワイマール・ドイツ)


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Bauhaus, Dessau, Germany by Nate Robert

1919年にドイツのワイマールで作られた新しい時代のデザイン学校「バウハウス」。
その校舎はシンプルで機能的であり、現代様式、国際様式の体言と言われました。
技術信仰、機械進行、機能信仰の時代を迎えていたこともあり、世界中の新建築に影響を及ぼしました。

 

■シカゴ・フレーム(ラーメン構造)


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ルイス・サリヴァン – Wikipedia

19世紀までの壁はベアリング・ウォール(耐力壁)と言い、壁で建物の重さを支えるものでした。
19世紀終わりから20世紀初め、高層ビル建設ラッシュだったシカゴで、柱と梁で建物の重さを支える新しい工法が生まれました。
これ以降の壁はカーテン・ウォール(張壁)と呼ばれ、重さを支える必要がない分、軽快なものとなります。

 

■ドミノ・システムとピロティの誕生


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Villa Savoye (Le Corbusier) – Poissy {april 2014} by Esther Westerveld

スイスの建築家ル・コルビュジェは、鉄筋コンクリートを建てる場合、柱とスラブ(版)で構成する骨組を提案し、1階に壁のない建物(ピロティ)を作り出しました。
その他、屋上庭園や水平連続窓なども編み出し、世界中の建築家に影響を与えました。

 

■「Less is more」の思想


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Seagram Building by Jules Antonio シーグラムビルディング(ニューヨーク)

「余計なものを省いたものは、より強い印象を与える」
ドイツの建築家で「超高層オフィスビルの父」と呼ばれるミース・ファン・デル・ローエの言葉です。
彼の代表作であるマンハッタンのシーグラムビルは、世界中の超高層建築のお手本とされています。

 


モダン様式の特徴


■新素材「鉄(時にはアルミやステンレス)」「ガラス」「コンクリート」を使う建物の機能に無関係な装飾がない
■機能的・合理的
■普遍的・国際的…特定の時代や地域をイメージさせる要素を持たない
■壁が軽快になった(物理的にも見た目でも)
■「白い箱」…装飾のない直線的な立方体

【ヨーロッパ観光に役立つ】歴史建築の特徴講座(ポストモダン様式)に続きます。

 

 

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